沖ノ島を世界遺産勧告

2017年05月10日

文化庁は5日、古代祭祀(さいし)や大陸との交流に関する貴重な遺跡が残る「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が世界文化遺産登録を勧告したと発表した。ただし、宗像市の沖ノ島(宗像大社沖津宮(おきつみや))と三つの岩礁以外の4資産についての除外を条件とした。政府は今後、除外条件とされた資産も含めて登録を主張するか検討する。

7月2~12日にポーランドで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に登録される見通し。登録されれば日本の世界文化遺産は計17件となる。

宗像市の沖約60キロにある沖ノ島は島そのものが信仰の対象となっている。4~9世紀には航海の安全を祈る国家的祭祀が行われ、その変遷を示す遺跡がほぼ手付かずの状態で残っている。金製指輪や銅鏡、朝鮮半島や中国製の装飾具など約8万点の出土品は全て国宝に指定され「海の正倉院」と呼ばれる。

政府は2016年1月「古代の東アジアにおける文化交流に光を当てており、遺跡がほぼそのまま残るのは世界的にもまれ」などとして世界遺産に推薦した。推薦したのは宗像大社沖津宮と三つの岩礁▽沖合10キロの大島にある沖津宮遥拝所(ようはいしょ)と宗像大社中津宮(なかつみや)▽本土の宗像大社辺津宮(へつみや)▽祭祀を担った地元豪族、宗像氏の墓とされる福津市の新原(しんばる)・奴山(ぬやま)古墳群-の8資産。

13年に世界文化遺産登録された「富士山」(山梨、静岡県)では、勧告時に三保松原(静岡市)の除外が条件だったが、正式審査では三保松原も含めて登録された。

18年は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本)が登録の審査を受ける。

 

=2017年5月6日付 西日本新聞朝刊一面=

沖ノ島

 福岡県宗像市の沖合約60キロにある孤島。東西約1キロ、南北約0.5キロ、周囲約4キロ、中央に一ノ岳(243メートル)がそびえる。島全体がご神体とされ、宗像大社の所有地。4世紀後半から9世紀末に国家的祭祀(さいし)が行われ、現在は宗像三女神の田心姫神(たごりひめのかみ)を祭る沖津宮がある。1954~71年の3次にわたる学術調査で23カ所の祭祀遺跡が確認された。上陸時は裸になって海水で身を清めるなど数々の禁忌が残る。亜熱帯植物が生息する北限に位置し、島の原始林は国指定天然記念物。周辺にカンムリウミスズメやヒメクロウミツバメが生息する。

住所:福岡県宗像市 沖ノ島

この記事もおすすめ

カテゴリ記事一覧