「邪馬台国は田川にあった」。卑弥呼の墳墓を否定。福智町の文化財研究員が自費出版。

2017年07月31日

 福智町在住で町文化財専門委員の小林省吾さん(68)が「邪馬台国は田川にあった」(大朋舎)を自費出版した。合併前の旧赤池町役場職員時代から古里の赤池を歩き回り、日本書紀や古事記などの文献を読み解いた労作で、地元の「鬼塚(おんつか)」を邪馬台国の女王卑弥呼の墳丘墓と位置付けている。

地元の人が「鬼塚」と呼ぶ丘陵(中央)。
巨大な円墳のような形をしている

小林さんは、30年ほど前から旧赤池町の地名「天郷」「海人」に興味を持ち、各地を訪ねて回った。日本書紀や古事記にまつわる話に出合い、日本武尊と景行天皇に関する伝説が多いことに気付いた。三国志の魏書、倭人の条、いわゆる魏志倭人伝なども研究した。

一方で、地域内には縄文や弥生時代の遺跡や出土物が多いと分かり、河川で土器を発掘したり、古代の支石墓を追跡したり、考古学の視点からもアプローチした。

その結果、記紀に読まれた神話の世界は「旧赤池町を中心にした田川が舞台だ」と判断。地元で「姫様の墓」と呼ばれ、人々が近づかない「鬼塚」が直径約300メートルの円墳のような形をしており、墓石のような石が整然と並んでいたことを確認。「鬼塚」が邪馬台国の女王卑弥呼の墓ではないかと推測している。

古里の歴史や地理、自然に関心を持ち、地域をくまなく歩き、30年かけて出版にこぎつけた小林さんは「不思議な力に導かれ、最後は大胆な結論にたどり着いた。赤池は間違いなく古代に栄えたクニだと思う」と話している。

20年ほど前から小林さんにアドバイスをしている考古学者で九州大名誉教授の西谷正さん(東アジア考古学)は「基礎的な手続きや立論の手法には小林さんとは大きな隔たりを感じるが、文字通り、古代ロマンに満ちあふれた楽しい書物だ」と激励の言葉を寄せている。

「邪馬台国は田川にあった」を出版した小林省吾さん

163ページ、千円(税別)。500部発行。田川広域観光協会(田川市魚町)=0947(45)0700=や、福智町商工会(福智町赤池)=0947(28)5055=で販売している。

=2017年7月29日付 西日本新聞朝刊筑豊版=

 

 

 

住所:日本福岡県田川郡福智町

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