生産地九州と権力化の畿内  「卑弥呼の戦争と武器」 松木武彦教授の話

2018年02月14日

 国立歴史民俗博物館の松木武彦教授

 北部九州では紀元前1~2世紀、朝鮮半島から鉄の素材が入り、加工して流通するようになった。弥生時代、倭で最初に本格的な金属器社会に入った地域だ。初期の国家について「鉄が権力をつくる」との説を私は支持している。ではなぜ鉄の一大生産地だった九州に比べ出土品も少ない近畿に大和政権ができたのか。

北部九州は交易が盛んで、鉄も豊富にあり、経済的にも進んでいた。空間的、階級的にも分散して社会形成が進んだ。イメージしやすいのは、みんなで豊かになる「共和制」だ。

一方、近畿は朝鮮半島から遠く、鉄は希少で、ありがたみがあった。近畿の王は共同体の首長の力を借りて九州から東方へのルートを握り、鉄を元手に経済力や権力を一極集中させていったとみている。もちろん鉄だけでなく、広い平野、日本列島の中央という点も近畿で政権が誕生した背景にあるだろう。交易窓口だった九州は外来の物資に頼っていた時代は良かったが、自給する時代を迎えると東方との差が広がった。

=2018年2月10日 もっと九州掲載

松木 武彦(まつぎ・たけひこ) 大阪大文学部卒、同大学院博士課程単位取得。専門は日本考古学。日本列島の古墳研究や考古学を通じた戦争、国家形成論などを研究。2014年から国立歴史民俗博物館の研究部門教授。56歳。

 

 

この記事もおすすめ

カテゴリ記事一覧