北部九州はパイオニアの地 「卑弥呼の戦争と武器」村上恭通教授の話

2018年02月14日

愛媛大東アジア古代鉄文化研究センター長 村上恭通教授

 弥生時代、韓半島(朝鮮半島)から鉄素材が持ち込まれ、剣や刀、矛、やりが作られた。武器というより社会的地位の象徴の要素が大きい。出土品に武器として使われた跡が見当たらないからだ。

中でもツルハシの形状をした「鉄戈(てっか)」は、北部九州でだけ出土した鉄器だ。鉄戈は韓半島の東海岸にあった弁韓や辰韓で作られ、先端の鉄器は20センチ前後のものが出ている。一方、北部九州での鉄戈の先端は40センチ超。集落内で鉄器を自給するだけでなく、技術を発展させ大型化させたことが分かる。韓半島の風習を受け継いだのは、武装への憧れがあったのかもしれない。

鉄器生産には、鉄をつくる炉を備えた「鍛冶工房」が欠かせない。北部九州の中でも、奴国の須玖遺跡群(福岡県春日市)は中核的な存在だった。皿状に深く掘り下げて火の温度を高め、高度な製鉄技術を持っていた。近畿地方の鉄器は小型で数も少ないことを考えると、北部九州は金属器のパイオニア(先駆者)の地だったといえる。

=2018年2月10日 もっと九州掲載

村上 恭通(むらかみ・やすゆき) 熊本大文学部卒、広島大大学院博士課程単位取得。専門は東アジア考古学。古代の中国やモンゴル、ロシアなどから鉄器文化が伝わったルートなどを研究。2007年から愛媛大東アジア古代鉄文化研究センター長。55歳。

 

 

この記事もおすすめ

カテゴリ記事一覧