九州出土の瓦は寧波製 日中で同一文様も X線分析や3D計測で判明

2017年03月09日

 

中国・寧波で収集された12世紀中ごろの瓦と、博多遺跡群、箱崎遺跡で出土した瓦の模造品

 福岡市の博多遺跡群や鹿児島県南さつま市の渡畑遺跡など九州の6カ所で出土した12世紀の平安末期から鎌倉初期の瓦が、中国・寧波で製造されたことを、鹿児島国際大(鹿児島市)の中園聡教授(考古学)の研究チームが突き止め、9日に発表した。素材の成分をX線で分析し、寧波の土が使われたことを証明した。

 また、博多遺跡群と箱崎遺跡(福岡市)で出土した瓦に、寧波の瓦と完全に同一の文様のものがあることも3Dスキャナーによる形状計測で判明した。同じ木型で寧波で製造されたとみられる。福岡市と寧波の距離は約千キロで、同一文様の瓦がこれほど離れて見つかるのは珍しいという。

 土が一致した6カ所の遺跡は、他に大宰府(福岡県太宰府市など)▽芝原(鹿児島県南さつま市)▽黒島大里(同県三島村)▽硫黄島(同)。中園教授によると、6遺跡から出土した瓦は軽くて薄い中国瓦と同じ特徴が知られていたが、日中のどちらで製造されたのかが謎だった。こうした瓦は九州各地で発見されており、中園教授は日宋貿易で中国の商人や禅宗の僧侶が持ち込んだとみている。「最新科学で寧波と博多や鹿児島を結ぶ日宋貿易のルートが解明できた。禅宗が導入された過程を知る手掛かりにもなる」と話す。

 九州の遺跡に詳しい福岡市埋蔵文化財調査課の常松幹雄課長は「日宋貿易は博多など九州が拠点だが、実態は不明な部分も多い。瓦の移動を科学的に裏付けた点で画期的だ」と語った。
=2015年7月10日付 西日本新聞朝刊=

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