
鹿児島県教育委員会は、古墳時代中期(5~6世紀前半)の立小野堀(たちおのぼり)遺跡(鹿児島県鹿屋市串良町)から、5世紀前半の国内最古級の青銅鈴が10点出土したと発表した。同様の鈴の出土は全国で7例あるが、1遺跡からの出土数は国内で最も多い。保存状態が良く、音が鳴らせる鈴も1点あり、約1600年を経て「カラン、カラン」と軽やかな音が響いた。識者は「畿内を中心とした交易網が、本土最南端まで及んでいたことを裏付ける重要な発見」としている。
鈴は2基の地下式横穴墓から5点ずつ見つかった。うち2点は、馬具の装飾品「三環鈴(さんかんれい)」の一部で、直径はともに約3センチ、重さは約30グラムと約10グラム。他の8点は直径1・5~1・8センチで重さ約1・7グラム。国立歴史民俗博物館(千葉県)の鉛同位体比分析により、原料は中国産と判明した。
鈴が見つかった墓の1基には20代女性と推定される朱塗りの人骨が埋葬され、頭部の周辺に鈴5点が供えてあった。鉄剣や鏃(やじり)も副葬され、地域の有力者の一族で、呪術者の可能性もあるという。もう1基に人骨はなかったが、朱塗りの跡と鈴5点が見つかった。
遺跡には地下式横穴墓190基があり、鉄器を中心に400点の副葬品も出土した。茨城大の田中裕教授(考古学)は「同様の鈴は畿内の盾塚古墳(大阪府)などでも見つかっているが、中央から鹿児島まで副葬品などを速やかに運ぶネットワークが存在したと推察される。驚きの発見だ」と話した。
=2015年5月14日付 西日本新聞朝刊=
- 立小野堀遺跡
- 住所:鹿児島県鹿屋市串良町細山田
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